継続給付の場合、断続して受けられない
継続給付を受ける場合の一番の落とし穴は、一度病気やケガが治って働ける状態になり、受給を受けなかった(受けられなくなった)場合、再度、体調が悪化して働けなくなったとしても傷病手当金がもらえなくなることです。
うつ病で退職した場合など、早く復帰したいために焦って働き始め、再び働けなくなるパターンがよく起こりますので必ず確認しましょう。
継続給付の支給期間の落とし穴
会社を退職し、傷病手当金を継続給付している場合でも、傷病手当金の支給期間は1年6月です。これは退職後、任意継続保険に加入していても、国民健康保険に加入していても変わりません。
ただし、在職中は傷病手当金の受給中に出勤して、また休んでも支給されますが、退職後は一度でも病気が軽快して働ける状態になった場合、その後また病気が悪化して働けない状態になったとしても、傷病手当金は支給されません。
継続給付を定めた健康保険法104条では、”継続して同一の保険者からその給付を受けることができる”とありますので、途中で働ける状態になった場合は継続ではなくなり、その規定から外れてしまうからです。
なので、継続給付を受けていて復帰する場合は、以後の傷病手当金はもらえないことを承知の上で就職しなくてはなりません。もし、就職して1週間働いて、すぐに会社を辞めたとしても以後の傷病手当金の支給期間が残っていたとしても、支給はされません。
失業保険(雇用保険の失業手当)をもらった場合
また、失業保険をもらった場合も働ける状態にあると判断され、以後の傷病手当金は支給されなくなります。失業保険は、傷病手当金の支給期間が終わった後、受給することができますので、詳しくは次のページの傷病手当金と失業保険へ
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ダブルでもらえる?傷病手当金と失業保険
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さらに、傷病手当金の時効(2年)を過ぎて請求しておらず、請求権がなくなってしまった場合も同様です。
参照:健康保険法 第104条(傷病手当金又は出産手当金の継続給付)
被保険者の資格を喪失した日(任意継続被保険者の資格を喪失した者にあっては、その資格を取得した日)の前日まで引き続き一年以上被保険者(任意継続被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く。)であった者(第百六条において「一年以上被保険者であった者」という。)であって、その資格を喪失した際に傷病手当金又は出産手当金の支給を受けているものは、被保険者として受けることができるはずであった期間、継続して同一の保険者からその給付を受けることができる。
参照:継続給付が断続した場合(昭和26年5月1日保文発第1346号)
本年一月発行の「社会保険」中八頁に健康保険法講座として五段目に一資格喪失後継続して、傷病手当金の支給を受けている者が、一且労務可能となつて」とあるが労務可能は完全治癒を意味する可能か療養を受けつつ稼働した場合の意味か2の照会とも関連があるようにも考えられるのでお伺いいたします。右のうち療養を受けつつ一〇日又は一四日間稼働して労務不能になつた場合と謂も解説のとおり支給されるか。
(回答)
資格喪失後継続して、傷病手当金の支給を受けている者については、保険診療を受けていても一旦稼働して傷病手当金が不支給となつた場合には完全治癒であると否とを問はず、その後更に労務不能となつても傷病手当金の支給は復活されない。
※解説
(回答)
資格喪失後継続して、傷病手当金の支給を受けている者については、保険診療を受けていても一旦稼働して傷病手当金が不支給となった場合には、完全治癒であるかどうかは問わず、その後、更に労務不能となっても傷病手当金の支給は復活されない。
参照:継続給付の時効消滅(昭和31年12月24日保文発第11283号)
当所管内被保険者より肺結核による傷病手当金請求書の提出があつたが、本人は昭和二十八年十一月一日被保険者資格を喪失しており喪失後時効により請求権の消滅した期間があるため時効未完成の期間についても法第五十五条の規定により継続して給付を受けていないとして支給できないかどうか疑義を生じたので、左記実例を上げて照会します。
記
資格喪失年月日 昭和28年11月1日
既支給期間 昭和28年6月30日~昭和28年10月31日
請求期間 昭和28年11月1日~昭和29年12月29日
請求書受付年月日 昭和31年10月16日
時効により支給できない期間 昭和28年11月1日~昭和29年10月15日(回答)
昭和三十一年十一月十九日付三一下社給発第一二二号をもつて照会の標記について、左記のとおり回答する。
記
御照会のごとく、資格喪失後何らの手続をとることなく相当期間を経過したため、健康保険法(以下「法」という。)第五十五条第二項に規定する受給資格期間は満たしているが、法第五十五条の規定による資格喪失後継続給付を受ける権利の一部がすでに時効により消滅している事例については、法第五十五条第一項の規定による「継続シテ」に該当せず、時効未完成の期間についても、法第五十五条の規定による資格喪失後継続給付を受けることはできないものと解される。
※解説
焦って早く復帰しようと自分で勝手に病状を判断して、仕事復帰したりしてはいけないということだと思います。